速水奨の名を語る上で、藍染惣右介という存在を外すことはできない。一見すると柔和で温厚な五番隊隊長から、天に立つ神を自称する絶対的支配者への変貌。その鮮烈な転換劇を支えたのは、静けさの中に絶対的な暴威を滲ませる速水の声だった。声を荒らげることなく、淡々と放たれる言葉の数々が、読者と視聴者に底知れぬ恐怖と陶酔を同時に植え付けた。
ダークファンタジーアニメの最高峰として名高い『BLEACH 千年血戦篇』でも、椅子に拘束された状態でありながら空間全体を支配する藍染のオーラは健在だった。言葉の抑揚を極限まで削ぎ落とし、響きの重さだけで相手を屈服させる演技プラン。それは、長年培われた圧倒的な発声技術と、キャラクターの内面を冷徹に見据える洞察力が融合した結果生み出された至高の芝居である。