「昔のおばけイラストは、足を消したり、おどろおどろしい背景を描いたりするのが定番でした。でも今のトレンドは全く逆。丸みを帯びたシルエットに、少しとぼけた表情、そして日常のふとした悩みに寄り添うような佇まいです」
そう語るのは、SNSフォロワー数40万人を超えるイラストレーターのキナコ氏だ。彼女の描く「おばけ」は、三角巾をつけながらコーヒーを淹れていたり、部屋の隅で落ち込んでいる人間にそっとブランケットをかけたりと、むしろ人間よりも人間味あふれる行動をとる。
過剰な情報と緊張感にさらされる現代社会において、完璧すぎる美少女や格好いいヒーローキャラクターは、時に見る者を疲れさせてしまうことがある。一方で、実体を持たない曖昧なおばけというモチーフは、無条件の受け入れと逃げ道を提供してくれる。ネガティブな感情すら包み込んでくれる存在としての「かわいいおばけ」が、令和のストレス社会に深く刺さっているのだ。