同世代や後輩芸人たちが「フォークダンスde成子坂 桶田敬太郎」の名を語る際、必ずと言っていいほど使われるのが「天才」という賛辞です。爆笑問題の太田光さんは、自身のラジオ番組やインタビューにおいて「あいつは本当に面白かった」「俺たちの世代で一番の天才だった」と繰り返し語っています。また、有吉弘行さん、くりぃむしちゅー(旧・海砂利水魚)、劇団ひとりさん、千原ジュニアさんらも、そのネタの発想力と技術に敬意を表してきました。
彼らが天才と称された理由は、当時のバラエティ番組やお笑いブームの定石を根底から覆す、圧倒的なメタ構造とシュールレアリスムにありました。
- お笑いの方程式の破壊:「フリとオチ」という既存のルールをあえて崩し、観客の予想を何重にも裏切る不条理な世界観を構築。
- 卓越した演技力と世界観:桶田さんの奇想天外で不気味さすら漂わせるボケに対し、村田渚さんの完璧な間合いと鋭いツッコミが合わさることで、前衛劇のような高精度のコントを成立させた。
- テレビサイズの枠に収まらない構成力:1分〜3分のネタ尺であっても、背景に長編演劇のような緻密な設定と狂気が潜んでいた。
1990年代前半、テレビ朝日系のネタ番組『GAHAHA王国』で初代チャンピオンに輝いたことを皮切りに、フジテレビ系『ボキャブラ天国』では「コロンビアの風」というキャッチコピーで爆発的な人気を獲得しました。しかし、アイドル的な熱狂に包まれながらも、桶田さんが作っていたネタの本質は常に批評性と実験精神に満ちており、それが同業者たちを唸らせ続けた最大の要因でした。