高度育成高校に入学後、一之瀬はBクラスの絶対的支柱として、クラスメイトを誰一人見捨てない理想主義を貫きました。しかし、能力至上主義を掲げる過酷な特別試験の荒波は、清廉潔白な善意だけで乗り切れるほど生易しいものではありませんでした。
一之瀬帆波 闇落ちの経緯を語る上で決定打となったのは、度重なる敗北と「退学の危機」です。神崎をはじめとするクラスメイトたちの焦燥、自身の甘さが招いたクラスポイントの凋落、そして自らの掲げる「全員を守る」という矜持が現実のルールに破綻させられていく絶望。追い詰められた彼女の心の隙間に決定的な楔を打ち込んだのが、他ならぬ主人公・綾小路清隆の存在でした。
原作2年生編が進むにつれ、彼女は単なる「お人好しの聖女」を完全に脱ぎ捨てます。相手の弱みを握り、心理戦を仕掛け、時には他者を蹴落としてでも自らの目的を果たす冷徹さを獲得。読者の間では「闇落ち」「悪女化」と騒がれましたが、これは悪に染まったというよりも、「自クラスと愛する者を守るために手段を選ばない現実主義者」への覚醒と表現するのが正確です。