彼を語る上で外せないのが、現役時代の記憶だ。東京ヴェルディや柏レイソル、水戸ホーリーホックなどで活躍したストライカー時代、ゴールを決めた後に見せたクリスティアーノ・ロナウドやハーランドらのゴールパフォーマンスはファンの心を掴んで離さなかった。しかし、そのユーモアの奥には、ゴール前の駆け引きを知り尽くした一流ストライカーの観察眼が隠されていた。
相手DFの視野の外に消える「オフ・ザ・ボール」の動き、コンマ数秒のタイミングのズレを利用した裏への抜け出し。自らがペナルティエリア内で死闘を繰り広げてきたからこそ、現代フットボールにおけるFWの「役割の変遷」を誰よりも生々しく言語化できる。現代のストライカーに求められるのは単なる点取り屋ではなく、最初のディフェンダーであり、攻撃の起点であるという事実を、彼は実体験に基づいて解説する。