疑惑が表面化した際、ネット上の学術コミュニティやSNS、研究者フォーラムでは怒りと失望の声が渦巻きました。特に「PubPeer」には、同氏の研究室から出された論文の図表について、切り貼りされたピクセルレベルの痕跡を示すキャプチャ画像が何十枚も投稿され、ユーザーによる徹底的な精査が繰り広げられました。
「実験の生データ(ローデータ)を出せば数分で解決するはずなのに、なぜ出せないのか」「若いポスドクや大学院生に全責任を押し付けて逃げ切ろうとしている」といった厳しい批判が世界中の研究者から殺到しました。実際、公式調査委員会の記録によると、グローチェ氏は不正が指摘された実験データについて「当時のノートやファイルは紛失した」「イタリアへ引っ越す際に失われた」などと釈明し、一次証拠を提示できませんでした。
さらに同氏が取った反撃策は、学界を一段と失望させました。自らの不正を指摘したニューヨーク・タイムズ紙の記者や、疑義を申し立てたパデュー大学のデイヴィッド・サンダース教授に対し、巨額の損害賠償を求める名誉毀損訴訟を連発したのです。しかし、連邦地方裁判所は「記事は客観的な事実と入手した公的文書に基づき公正に書かれており、悪意はない」としてグローチェ氏側の訴えを全面棄却。この裁判の敗訴によって、ネット上では「訴訟を盾に科学的批判を封殺しようとした」という決定的な悪評が定着することとなりました。