加熱調理を行わない生食文化の象徴である寿司において、カウンターに立つ寿司職人の手技は芸術そのものである。しかし、職人の素手による調理行為は、同時に高度な衛生意識と厳密な手洗いの徹底を伴わなければ致命的なリスクへと変わる。
特にノロウイルスは熱に強く、微量でも感染を引き起こす非常に厄介な病原体だ。どれほど熟練した技を持つ寿司職人であっても、自身の体調変化や手指のわずかな傷、さらには食材の交差汚染に無自覚であれば、事故を防ぐことは困難になる。手袋の着用義務化や、調理工程ごとに手指を連続消毒する新たなオペレーションの導入など、職人技のプライドと相反しないレベルでの衛生革命が必要とされている。