ドラマのすべての台詞を生み出し、日本の家族の縮図を脚本に落とし込んできた橋田壽賀子さんは、2021年4月4日、急性リンパ腫のため熱海の自宅で95歳の生涯を閉じました。
橋田さんは生前、『安楽死で死なせて下さい』などの著書を発表し、過度な延命治療を望まず「人に迷惑をかけずに自分の意志で逝きたい」という強いメッセージを発信し続けていました。その信念は最期まで揺らぐことはありませんでした。入院治療を拒否し、自ら希望した熱海の自宅で、親友であり戦友でもある石井ふく子プロデューサーに看取られながら静かに息を引き取ったのです。
残された遺言により、葬儀・告別式は一切行われず、遺骨は遺志に従って相模湾に海洋散骨されました。墓も作らず、自身の財産は「橋田文化財団」を通じて後進の育成に充てられるなど、自らの終活を完璧にやり遂げた橋田さんの幕引きは、現代日本における「死生観」のあり方に大きな一石を投じました。