ネット上の裏技解説において最も頻出する失敗事例が、「固い桃を湯むきしようとして大失敗した」というケースです。硬い食感が特徴の「おどろき」や「まどか」、あるいは追熟前の固い白桃に対して熱湯をかけても、ペクチンが不溶性の結晶構造を保っているため、皮は一切つるんとは剥けません。それどころか、ただ生ぬるく煮えかけた、味のぼやけた桃が出来上がるだけです。
【固い桃の正しい剥き方】
固い桃は無理に湯むきや手剥きを試みず、よく切れる果物ナイフやりんご用の皮むき器(ピーラー)を使って、薄く削ぎ落とすのが最も美しく仕上がります。東北地方など固い桃を好む産地では、皮を剥かずに綺麗に水洗いして産毛を落とし、皮ごとカリカリとした歯ごたえを楽しむ文化も定着しています。
【変色を防ぐレモン水と保存の科学】
また、綺麗に剥けた後に油断できないのが「褐変(変色)」です。桃に含まれるポリフェノールオキシダーゼという酵素が空気に触れることで、短時間で茶色くくすんでしまいます。
これを防ぐ特効薬が「レモン水」です。水200mlに対してレモン果汁小さじ1/2を溶かしたボウルを用意し、切り分けた桃をくぐらせる(約1〜2分浸ける)だけで、ビタミンCの還元作用とクエン酸のpH低下効果により、半日以上経っても透き通るようなみずみずしい色合いを維持できます。酸味が苦手な場合は、0.5%程度の薄い食塩水や、10%濃度のガムシロップ水に潜らせる方法も風味を損なわず非常に効果的です。