龍恋の鐘のバックボーンには、鎌倉時代の史料『江嶋縁起(えのしまえんぎ)』に記された、美しくも壮大な愛の伝説が存在します。
かつて深沢の湖(現在の鎌倉市周辺)に棲みつき、天変地異を起こして人々を苦しめていた恐ろしい悪龍「五頭龍(ごずりゅう)」。ある時、海底から突如として江の島が湧き上がり、天空から美しい天女が舞い降りました。この天女こそが、江島神社に祀られる弁財天です。
天女の神々しい美しさに一目惚れした五頭龍は求婚しますが、天女は「これまで犯した悪行を悔い改めない限り、想いを受け入れることはできない」と厳しく諭します。龍は深く反省して悪行を断ち切り、人々を守る守護神となることを誓いました。そして天女と結ばれた後、自らの寿命が尽きるときには山(現在の龍口山)となり、永久に江の島を見守り続けたと伝えられています。
つまり、龍恋の鐘は単なる観光オブジェではなく、「悪心を捨てて愛を貫いた五頭龍と天女の絆」を現代に再現した由緒ある記念碑です。江島神社に参拝し、二柱の神話に思いを馳せながら鐘を鳴らす行為は、本来であれば極めて強力な縁結びの祈願と言えます。