ポケモンファンの間で長年まことしやかに語り継がれてきた言説の一つに、「草御三家=序盤ハードモード・後半不遇説」があります。初代のフシギダネこそ序盤のタケシ・カスミに有利で初心者向けとされていましたが、第2世代のチコリータが飛行・虫・ノーマル(ミルタンク)といった序盤の関門で極めて苦戦を強いられたことや、草タイプ特有の弱点の多さ(炎・氷・毒・飛行・虫の5つ)が原因で、「草を選ぶと冒険の難易度が跳ね上がる」という固定観念が定着しました。
しかし、近年の実態データを検証すると、この「草不遇説」は完全に過去の遺物となっています。ゲームフリークの開発陣による巧みなバランス調整と特性デザインにより、草御三家は対戦環境において最も劇的な変貌を遂げたタイプとなりました。
- ジャローダ(第5世代):夢特性「あまのじゃく」により、撃つたびに特攻が2段階ダウンするはずの大技「リーフストーム」が、撃つたびに特攻が2段階上昇する驚異の強化技へと変貌。単タイプながら環境屈指の全抜きアタッカーとして君臨しました。
- ゴリランダー(第8世代):特性「グラスメイカー」でフィールドを展開し、先制技「グラススライダー」を叩き込む戦術で環境を制圧。高火力とフィールド制圧力を兼ね備えた支配者となりました。
- マスカーニャ(第9世代):確定急所かつ必中、さらに相手の能力上昇を無視する「トリックフラワー」を提携。高い素早さからの「はたきおとす」「とんぼがえり」を駆使し、草タイプの弱点を感じさせない超アグレッシブな立ち回りを実現しました。
防御面の弱点の多さを、圧倒的な攻撃性能や唯一無二の先制・補助技でカバーする設計へとシフトしたことで、草御三家は「玄人好みの扱いづらい枠」から「対戦をリードする主軸枠」へと完全に脱皮を果たしています。