ネット上のギター愛好家コミュニティやSNSで、今なお活発に議論されているのが「『1/2』を原曲のグルーヴで弾きこなすことの難しさ」です。一聴すると軽快なアコースティックギターのストロークに聴こえますが、コードブックを開いたプレイヤーの多くがその複雑さに直面します。
一般的なJ-POPで多用されるカノン進行や王道進行とは異なり、この曲のコードワークにはファンクやジャズのテンション感が巧みに織り込まれています。EキーやAキーのオープンコードの響きを活かしながらも、メジャー7thや9thのテンションノート、さらには急激なベースラインの下降を伴う分数コード(オンコード)が目まぐるしく展開されます。これに加えて、川本真琴特有の「アコギをパーカッションのように叩きながらリズムを刻むアタック感」が要求されるため、並大抵のストローク技術ではあの跳ねるような疾走感を再現できません。
当時の音楽番組『ミュージックステーション』や『COUNT DOWN TV』などに出演した際のライブテイクを見ても、彼女は細身の身体を激しく揺らし、額に汗を滲ませながらアコギを乱暴なまでに力強くかき鳴らしていました。口元からこぼれ落ちる膨大な歌詞情報と、荒々しいピッキング。打ち込み主体の整然としたサウンドが主流になりつつあった1990年代後半のスタジオにおいて、彼女の生々しいフィジカルパフォーマンスは異質であり、同時に圧倒的なリアリティを放っていたのです。