ここで、ネット上の噂に惑わされないための「盲点」について触れておきましょう。多くの人が抱く誤解の一つに、「銀座の一等地にあるから、ブランド料だけで法外な値段をつけているのではないか」という穿った見方があります。
しかし、オーディオの流通構造を深く取材すると全く異なる実態が見えてきます。現代の高級オーディオ レコードプレーヤー市場において、50年前のヴィンテージ機材を現代の家庭環境でノイズなく安全に稼働させるためには、膨大なレストアコストと専門パーツの調達ルートが必要です。同店で扱う機材は、経年劣化するゴム類や真空管、アームの水平アライメントに至るまでプロの手でオーバーホールされています。
また、有楽町・銀座エリアには古くから山野楽器などの名店が存在し、常に審美眼の鋭い客層に揉まれてきた歴史があります。安易な粗悪品を並べれば即座に淘汰されるプレッシャーの中で、あえて銀座の看板を背負い続けている点こそが、信頼性の担保にほかなりません。単なる「場所代」ではなく、「確実な音を保証するための技術料」が反映された価格設定であるという構造を理解しておく必要があります。