取材班が激戦の現場で目撃したのは、旧態依然とした選挙戦術の機能不全と、有権者の冷徹な選別眼でした。落選を喫したあるベテラン現職の選対事務所では、開票直後に重苦しい沈黙が広がり、選対幹部が「推薦団体を固め、名簿の電話かけも徹底したはずなのに、票が跡形もなく抜けていた」と顔を覆う場面がありました。
現職落選の最大の要因は、「活動のブラックボックス化」に対する有権者の強い不満です。4年間の任期中、市議会でどのような質問を行い、どのような施策を実現したのかを日常的に発信してこなかった議員に対し、市民は容赦ない「ノー」を突きつけました。街頭演説でも通り過ぎる市民の視線は冷ややかで、後援会の高齢化に伴う集票力の低下を補う手立てを欠いていました。
対照的に、上位当選を果たした注目の新人たちは、徹底した「日常の可視化」を実践していました。朝夕の辻立ちだけでなく、YouTubeやInstagram、X(旧Twitter)を駆使し、市議会の審議内容や税金の使途を分かりやすい図解で毎日配信。「政治を身近にする」というスローガンを形骸化させず、行動で示し続けた候補が、無党派層やこれまで投票所に足を運ばなかった層の共感を勝ち取りました。