メディアが発表する「人気職業・クリエイターの平均年収」という見出しには、極めて悪質な統計上のバイアスが潜んでいます。調査対象の選び方によって「平均年収800万円」といった景気の良い数字が独り歩きすることがありますが、このユーチューバー平均年収の実態を紐解くには、平均値ではなく「中央値」を見なければなりません。
YouTubeの収益化基準(チャンネル登録者1000人、年間総再生時間4000時間以上、またはショート1000万回再生)を突破しているアカウントは、開設された全チャンネルのうち上位10〜15%前後に過ぎません。そして、その収益化を達成した集団の中に限ったとしても、年間の広告収入が100万円を超える層はさらにその一部です。
上位0.1%のウルトラリッチが全体の数字を天文学的に引き上げているだけであり、クリエイターエコノミー全体の実体的な「中央値」は、年間ベースで計算すれば数万円から十数万円程度というのが冷徹な現実です。機材投資や電気代、編集に投じる膨大な時間を考慮すれば、9割以上の参入者は経済的利益を得るどころか「労働力と現金を持ち出しで提供している」構図が見えてきます。