札幌市立大学の最大の独自性として喧伝されるのが、看護とデザインを掛け合わせた「D×N連携教育」です。医療や看護の現場に潜む動線の不備、サイン計画の分かりにくさ、患者の心理的負担をデザインの視点で解決し、デザイナーには医療福祉の倫理観や人間工学の深い理解を根づかせるという試みは、開学当時から全国的な注目を集めました。
現場取材で見えてくる札幌市立大学のリアルな評判は、評価する声と戸惑いの声が入り混じっています。1年次に開講される合同授業「まちの健康とデザイン」や多職種連携演習について、看護学部の在校生からは「単に注射やバイタルサインを学ぶだけでなく、医療機器のインターフェースや病室の照明が患者の心理にどう影響するかを深く考える契機になった」という前向きな証言が寄せられています。
一方、デザイン学部の学生からは「1年次は座学や合同ワークが多く、早く専門的なグラフィックやプロダクトの造形スキルを磨きたい人にとっては、ややもどかしい時間になることもある」という率直な意見も聞かれます。両学問の融合は、将来的にヘルスケアデザインやユニバーサルデザイン、医療機器開発へ進む学生にとっては比類なき武器となる反面、純粋なファインアートや商業広告のみを追求したい学生には目的意識のブレを生むリスクを孕んでいます。