学問的枠組みとしての国際政治学や地政学の視点は、ユーラシア大陸の動乱を「対岸の火事」として終わらせないための必携のツールである。ウクライナ情勢の長期化は、エネルギー価格の高騰や食料安全保障の危機を通じて、日本の市民生活や産業基盤を直撃し続けている。
さらに深刻なのは、極東アジアにおける地政学的バランスの変化だ。中露の緊密化と北朝鮮の軍事的挑発は、日本の安全保障環境を戦後最も厳しく複雑な状況へと追いやっている。台湾海峡の緊張感が高まるなか、欧州の危機管理モデルをアジアへどう適用するか、あるいは回避するかという課題は、我が国の生き残り戦略そのものである。