本作における最大のハイライトの一つが、織田信長と徳川家康の関係性だ。岡田准一が演じた信長は、単なる冷酷非道な魔王ではない。「白兎」と呼んで家康を翻弄しながらも、誰よりもその潜質を認め、深い愛情と期待を寄せる異質な存在として描かれた。
ふたりの間に漂う空気感は、恐怖と憧憬、そして兄弟愛にも似た情念が混ざり合う。信長の苛烈な要求に苦悶しながらも食らいついていく家康の姿は、観る者の涙を誘った。安土城での心理戦や本能寺の変へと至る過程において、ふたりの絆が残した爪痕は、その後の家康の生き様を大きく規定していくことになった。