1968年、小学館が発行する青年漫画誌『ビッグコミック』で連載を開始した本作は、当時の表現媒体としての可能性を根底から拡張した。創作者であるさいとう・たかをは、それまでの子供向けマンガとは一線を画す、大人による大人のための重厚な「劇画」スタイルを確立。リアルな描写と緻密なプロットで一躍時代の寵児となった。
さらに注目すべきは、作品を支えるプロダクションシステムの構築である。劇画制作を完全な分業制へとシフトさせたさいとう・プロダクションの設立は、かつて個人の才能に依存していた漫画業界における一大イノベーションであった。脚本家、作画スタッフ、背景専門の職人たちが一体となり、締め切りを破ることなく高品質な長編を半世紀以上供給し続ける構造は、出版文化における奇跡と言っても過言ではない。