議論の激化と時代の変化を受け、JBCも組織としての規定見直しや運用の柔軟化を迫られることとなった。形式的な処分を繰り返すだけでは、国際的に活躍するトップボクサーの権利を守れず、興行としての発展も阻害するという危機感が関係者の間で共有されたためである。
現在では、タトゥーの一律排除から「安全管理や過度な公序良俗違反に当たらない限り、柔軟な対応を認める」方向へと運用の舵が切られている。プロボクシングが単なるストイックな競技から、多様な個性が輝くスポーツエンターテインメントへと成熟していく過程において、井岡が投じた一石は決定的な契機となった。
ルールを盲従するのではなく、時代や選手の意識に合わせてアップデートしていく。井岡のタトゥー騒動は、競技統括団体と現役トップアスリートが真正面からぶつかり合い、新たな調和点を見出すための試練だったと言える。