PIZZA OF DEATHの歴史を語る上で、インターネット上で今なお議論を呼ぶトピックがWANIMAのピザオブデス移籍理由です。熊本出身の無名バンドだったWANIMAは、2014年にピザオブデスから1stミニアルバム『Can Not Behaved!!』をリリースし、瞬く間に全国規模の人気を獲得しました。
その後、2017年にワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル「unborde」へ移籍した際、ネット上では「方向性の対立か」「金銭面でのトラブルか」といった憶測が飛び交いました。しかし、当時の音楽メディアのインタビューや横山健本人の回想手記を検証すると、実態は全く異なるものでした。
横山健は、WANIMAが持つポピュラリティとメロディの訴求力が「インディーズのパンクシーンにとどまる器ではない」ことを誰よりも早く見抜いていました。テレビ出演や巨大スタジアムクラスでの興行を視野に入れた際、インディーズレーベルのリソースだけでは彼らの可能性を制限してしまうリスクがあったのです。
横山は当時、「自分たちの手元で小さくまとめるのではなく、行けるところまで行かせてやりたい」という趣旨の発言を残しています。マネジメントや育成を担うレーベルが陥りがちな「囲い込みによる共依存」を排し、アーティストの最大幸福のために背中を押したこの移籍劇は、商業主義とは対極にある真のメンターシップ(師弟関係における心理的自立)の好例として業界内外で高く評価されています。