ネット上では「視聴率低迷による突然の打ち切り」と語られることもありますが、テレビ大阪と制作関係者の証言を総合すると、番組終了の背景には極めて構造的な問題が存在していました。最大の要因は、番組の核であった「日本の伝統工芸と職人の限界点」に達したことです。
12年にわたる放送の中で、番組が取り上げた全国の職人は4,000人以上にのぼります。妥協を許さない密着取材を行うため、1本の企画を成立させるには数カ月におよぶリサーチと現地交渉が不可欠でした。しかし、後継者不足に悩む日本の町工場や伝統産業界において、「全国ネットのゴールデンで紹介できる技術と工房」を掘り起こし続けることは年々難度を増していきました。
さらに、番組の象徴的存在だったナレーター・麻生美代子さんが2018年に体調面から勇退し(同年に逝去)、番組初期から温かい眼差しでレギュラーを務めていた地井武男さんの逝去など、番組の精神的支柱を失った精神的ダメージも軽視できません。2018年秋には若返りと新風を狙い『二代目和風総本家』へと看板を架け替え、鈴木福さんを迎えるなどの大幅リニューアルを敢行したものの、かつて世帯視聴率10〜12%台を記録した全盛期の勢いを取り戻すには至りませんでした。
2020年春の改編期、全国的なロケ取材が制限され始めた社会情勢も重なり、テレビ大阪は「日本の良心を伝えきった」という判断のもと、番組の発展的終了を決断したというのが偽らざる舞台裏です。