鮮やかな赤色と不快な外見から「毒があるのではないか」「蚊のように刺されて血を吸われるのでは」と恐怖を感じるケースが後を絶ちません。しかし、赤虫(ユスリカの幼虫)が人間を噛んだり刺したりすることは構造上あり得ません。
ユスリカは名前に「カ(蚊)」と付きますが、一般的なカ(イエカやヤブカ)とは科のレベルで異なります。成虫になっても口器が完全に退化しており、人間や動物の皮膚を突き刺して吸血する機能を持っていません。幼虫期も同様に、有機物やデトリタス(微生物の死骸などの堆積物)を濾過摂食するだけであり、人体へ直接的な攻撃を加える危険性はゼロです。
ただし、衛生害虫としての実害がないわけではありません。見過ごされがちなのがユスリカ喘息やアレルギー性鼻炎のリスクです。排水口や側溝で大量発生した幼虫が羽化し、成虫となって寿命を迎えると、その死骸が乾燥して微細な粉塵(ハウスダスト)へと変化します。この粉塵を吸い込むことで、気管支喘息や目のかゆみ、鼻炎といったアレルギー症状を引き起こすことが医学的調査でも証明されています。室内の水回りで発生を放置することは、呼吸器疾患の引き金になりかねません。