九州最大の商業地である天神(福岡市中央区)。巨大な商業施設やオフィスビルが整然と立ち並ぶメインストリートに夕闇が降りると、アスファルトの上に忽然と屋台の骨組みが組み上がる。天神の歩道に赤提灯が灯る瞬間、街はビジネスの顔から、温もりと活気に満ちた大衆社交場へと表情を変える。
福岡市役所が主導する屋台公募制度や厳しい営業ルールのもとで、現代の博多屋台は衛生面や安全性を高めつつ、独自の進化を遂げてきた。なかでも天神エリアは、伝統的なスタイルと新世代のエネルギーが絶妙なバランスで共存する激戦区。歩道に広がるわずか数席のカウンターには、仕事帰りの会社員からバックパッカーまでが肩を寄せ合い、昭和から続く屋台情緒を全身で体感している。