では、具体的にどの物質が脳の発達を促進しているのだろうか。研究者が最も注目しているのが、妊娠初期に急増する「ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG)」と、胎盤から分泌されて代謝を制御する「ヒト胎盤性ラクトゲン (hPL)」という2つの重要ホルモンだ。
ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG) は脳の嘔吐中枢を刺激する一方で、胎児の甲状腺機能を活性化させ、初期の脳神経の発達を力強く後押しする。またヒト胎盤性ラクトゲン (hPL) は、母体から胎児へ送られるブドウ糖の供給量を最適化し、膨大なエネルギーを消費する脳組織の形成を支える。これら二つのホルモンが高濃度で分泌されるほど母体のつわり症状は重くなる傾向にあるが、同時に胎児の脳には最高の栄養と刺激がもたらされている計算になる。