松井にとって、人生の最大の恩師である読売ジャイアンツ時代の長嶋茂雄終身名誉監督の存在は特別だ。結婚を決意した際、松井が誰よりも早く報告を入れた相手の一人が長嶋氏だった。日米を股にかけた移籍劇やケガとの苦しい戦いの中にあっても、二人の間には言葉を超えた師弟の絆が存在していた。
長嶋氏は松井の結婚に際し、「素晴らしい伴侶を得た。これでますます野球に集中できる」と心からの祝福を贈っている。海を渡り、メジャーリーグベースボールの苛烈なプレッシャーに晒されながらも、松井がグラウンドで常に紳士であり続けられた背景には、恩師の教えと、家庭で待つ妻の献身的な精神的支えがあった。
日本球界を背負って渡米した孤独なスラッガーを、家庭内から静かにエンパワーメントし続けたパートナーの存在。それこそが、故障に苦しんだヤンキース時代後半の松井を支える強固な防波堤となっていた。