この歴史的転換点において決定的な役割を果たしたのが、1991年に刊行された樋口可南子の写真集『Water Fruit』、そして写真界の巨匠・篠山紀信である。陰影を駆使した美的なカメラワークで女性美を切り取ったこの作品は、それまでの暗い路地裏のイメージを一変させ、堂々たるアート写真として世に突き付けられた。
そして同年11月、日本中を最大の衝撃が襲う。当時トップアイドルとして絶大な人気を誇っていた宮沢りえの写真集『Santa Fe』の発売である。篠山紀信がニューメキシコ州の異国情緒溢れる風景の中で捉えた彼女の姿は、圧倒的な透明感と生命力に満ち溢れていた。発行部数は150万部を超え、一般の家庭の書棚にまでヌード写真が並ぶという前代未聞の社会現象を巻き起こしたのだった。