日本プロ野球機構が定める現行のFA補償制度において、FAプロテクト枠選定はまさに知略の限界が試される場だ。リストの提出期限が迫るなか、球団事務所の灯りは連夜消えることがない。若手をプロテクトから外せば他球団に奪われるリスクを背負い、実績のあるベテランを外せば長年の功労に対する誠意が問われる。この構造的な葛藤こそが、現場を締め付ける最大の要因となっている。
特に近年は、データ分析の進化によって選手の将来価値がより精密に算出されるようになった。そのため、過去の功績やネームバリューだけに頼ったリスト作成は完全に通用しなくなっている。ひとつの枠をめぐる判断ミスが、数年後の劇的な戦力低下を招くケースも少なくない。