一人の青年がいかにして日本一の富豪となり、世界のアパレル小売業界を揺るがす怪物企業を作り上げたのか。その歩みは、極上のビジネスドキュメンタリーを観ているかのようなドラマに満ちている。
1949年、山口県宇部市に生まれた柳井正氏は、父親が経営する「小郡商事」に入社。当時の店はどこにでもある街の小さな紳士服店に過ぎなかった。しかし、米国の大学売店で見かけたセルフサービス方式のカジュアルウェア販売に着想を得て、1984年、広島市に「ユニクロ」の第1号店をオープンさせる。低価格で高品質な日常着を提供するスタイルは、バブル崩壊後のデフレ日本において爆発的な支持を獲得した。
「フリースブーム」で一躍全国区のブランドへと躍進を遂げた後も、彼の足が止まることはなかった。自社で企画から製造、販売までを一貫して手がけるSPAモデルを完成させ、海外市場へ果敢に進出。一時期の低迷や失敗に折れることなく、失敗から学んだ教訓を即座に次の戦略へとフィードバックさせる執念の経営が、現在の金字塔を打ち立てたのだ。