「させていただく」という表現は、文法的には使役の助動詞「〜させる」に謙譲語「いただく」が組み合わさった謙譲表現です。五段活用動詞では「行かせていただく」「読ませていただく」、一段活用動詞では「見させていただく」のように接続します。この言葉の使い方について、公的な基準を示しているのがさせていただく文化庁の敬語指針(文化審議会答申「敬語の指針」)です。
指針では、「させていただく」を適切に使用するための基準として、以下の2つの条件を明確に定めています。
- 条件1:相手側または第三者の「許可」を受けて行うこと
- 条件2:その行為によって、自分が「恩恵」を受ける事実や認識があること
つまり、相手の許可と恩恵の関係が成立していない場面でこの表現を使うと、日本語として不自然になり、相手に強い違和感を抱かせます。例えば、相手から「企画書をメールで送ってください」と依頼された場合、送付することは相手の要請に応える行為であり、相手の許可を得て自分が利益を得るわけではありません。この場合に「企画書を送付させていただきます」と書くと、条件に合致せず、ひとりよがりな謙譲表現になってしまいます。