一口に鼻周辺の吹き出物といっても、発生する位置や炎症の深さによって病態は明確に異なります。部位ごとの解剖学的特性を無視した一律のケアは、炎症を長引かせる原因になります。
まず、もっとも相談が多い小鼻ニキビの赤み。小鼻の溝(鼻翼基部)は皮脂が滞留しやすい構造に加え、表情の動きで皮膚同士が摩擦を起こしやすい繊細なエリアです。初期段階の白ニキビ(面皰)の段階で適切な毛穴詰まり対策を講じないと、毛穴深部でアクネ菌が爆発的に増殖し、好中球が集まることで強い炎症反応が生じます。この赤みをファンデーションやコンシーラーで厚塗りして隠そうとすると、油分が毛穴の蓋となり、アクネ菌にとって最適な嫌気性環境(酸素のない環境)を提供することになります。
一方、神経が密集している鼻の下のニキビは、触れるだけでも飛び上がるような激痛を伴うケースが珍しくありません。この部位は日常的な鼻かみによるティッシュの摩擦、マスク着用時の呼気による高温多湿環境、あるいは口唇ヘルペスや毛嚢炎(もうのうえん)との鑑別が必要なデリケートゾーンです。ズキズキとした拍動性の痛みがある場合、それはすでに炎症が毛穴の壁を破壊し、真皮層にまで達した「赤ニキビ」「黄ニキビ」のフェーズです。
この段階での痛い鼻ニキビの対処法として、指先やピンセットで角栓ごと押し出そうとする行為は厳禁です。毛穴の周囲組織が挫滅し、真皮のコラーゲン繊維が断裂すると、炎症が沈静化した後に赤みが数ヶ月残る炎症後色素沈着や、すり鉢状・アイスピック状の凹みとなる鼻周りのニキビ跡として半永久的に刻み込まれてしまいます。