大手映画レビューサイト(映画.com、Yahoo!映画など)の当時の評価スコアを見ると、前編・後編ともに5点満点中2点台前半から中盤に留まり、インターネット上では「ひどい」「改悪だ」という痛烈な批判が飛び交いました。一方で、特撮マニアや海外の一部の映画評では「怪獣映画・パニック映画として傑作」という熱烈な擁護論も噴出し、完全に二極化する事態となりました。
ネット上で特に猛烈な反発を招いた要因は、主に以下の3点に集約されます。
- ミカサのキャラクター改変と不倫を想起させる演出:原作のミカサはエレンへの献身がアイデンティティでしたが、実写版では序盤でエレンの目の前で巨人に連れ去られ、再会時にはシキシマの愛人のような振る舞いを見せ、リンゴを官能的に口に含む描写が挿入されました。この描写が「原作の純真な関係性を冒涜している」とファンの逆鱗に触れました。
- エレンの無力化と現代的ナイーブさ:「巨人を駆逐してやる」という燃え盛る怒りが原動力だったエレンが、冒頭では壁の外に対する情熱を持て余した無気力な若者として描かれ、序盤の危機感の欠如が観客の苛立ちを生みました。
- 兵団内の過剰な痴情のもつれ:巨人の脅威が迫る緊迫した状況下で、兵士同士が性的な衝動に駆られるシーン(ヒアナがエレンを誘惑する場面など)が挿入され、「B級ホラー映画のような下品な脚色」として批判の的となりました。
しかし、全編が批判されたわけではありません。極めて高い評価を勝ち取った要素も確実に存在しました。その筆頭が、石原さとみさん演じるハンジの圧倒的な完成度です。
石原さとみさんは撮影前、アニメ版でハンジの声を担当した声優・朴璐美さんに自らアプローチし、叫び声のトーンや興奮時の息遣い、感情の起伏の付け方を徹底的に研究して現場に臨みました。巨人を前にした時の常軌を逸した歓喜の表情や、ロケットランチャーをぶっ放す際の狂気を帯びた叫びは、「原作からハンジがそのまま抜け出してきた」とネット上でも大絶賛の嵐を巻き起こしました。
さらに、樋口真嗣監督率いる特撮チームが創り上げた「生々しい巨人たちの造形」と「ミニチュア破壊工作」は、ハリウッドのフルCG映画にはない生々しい恐怖と質量感をスクリーンにもたらし、映画業界のクリエイター陣からも「特撮表現の到達点」として極めて高いリスペクトを集めています。