スーパーの店頭で買い物客がついやってしまいがちなのが、「全体が濃い紅色に染まっているもの」を無条件にカゴへ入れてしまう行動です。しかし、青果バイヤーや熟練の果樹農家が真っ先に見るのは、実は「赤さ」ではなく「お尻の地色」と「果皮の白い粒」です。
店頭で桃を選ぶ際は、絶対に指で押して柔らかさを確かめてはいけません。桃はわずかな圧力でも数時間後には茶色く変色し、売り物にならなくなる極めてデリケートな果物です。完全な「非破壊・目視のみ」で甘い個体を見分けるための決定的な4つのチェックポイントが存在します。
まず注目すべきは、果実の表面に無数に散らばる白い星のような斑点、専門用語で「果点(かてん)」と呼ばれる組織です。果点は、果実が太陽の光を浴びて限界まで糖分を蓄えた結果、果皮の気孔が裂けて現れる糖度集積のサイン。果点が果実の上部から全体にかけてクッキリと浮き出ている個体は、果肉内部にスクロース(ショ糖)が充満している証拠であり、ハズレを引く確率は劇的に下がります。
次に確認したいのが「割れ目(縫合線)」の深さと左右のバランスです。縫合線を中心に左右がふっくらと均等に膨らみ、きれいな球体を描いている桃は、受粉が完全に行われ、種子の周りからバランスよく養分が行き渡った優良個体です。どちらか一方が極端にへこんでいたり、いびつな形をしているものは、内部で種が割れる「核割れ」を起こしているリスクがあり、渋みが出たり甘みにムラが生じやすくなります。