「ルビーとサファイアが双子のような関係どころか、同一人物だったとは夢にも思わなかった」――宝石店を訪れた顧客から毎日のように聞かれる驚きの声です。宝石学および鉱物学において、ルビーとサファイアの主成分は完全に一致しており、化学組成式は酸化アルミニウム(Al₂O₃)、鉱物名は「コランダム(鋼玉)」に分類されます。
純粋なコランダムの結晶は、不純物を一切含まない場合、光をそのまま透過させるため完全な無色透明(カラーレス)です。市場では「ホワイトサファイア」と呼ばれるこの無色透明の石に、地球深部のマグマや変成作用の過程で「異種の金属元素」がわずか1%程度入り込むことで、劇的な色の変化が生じます。
宝石の分類規則はきわめて厳格です。数あるカラーバリエーションの中で、「赤色を呈するものだけをルビー」と呼び、それ以外のすべての色――ブルー、イエロー、グリーン、パープル、ピンク、オレンジ、無色――は、「すべてサファイア」と定義されています。つまり、青い宝石の代名詞であるサファイアですが、鉱物学的には「赤くないコランダムの総称」という側面を持っています。