一方で、「更年期に入ってから理由もなくどんどん痩せていく」という悩みもまた、非常に深刻な医学的課題である。多くのメディアやヘルスケアの情報では「更年期=太る」というステレオタイプが語られがちだが、実際の医療現場では痩せ型の悩みによる受診も絶えない。NHK健康チャンネルなどの解説プログラムでも取り上げられるように、消化器系の機能低下による体重減少は見過ごせないリスクを孕んでいる。
取材に応じたある産婦人科専門医は、「エストロゲンの減少は胃腸の平滑筋の動きを低下させ、胃もたれや胸やけ、慢性的な便秘や下痢を引き起こしやすくする」と指摘する。自律神経の乱れから強いストレスを感じ、胃酸の分泌異常や食欲不振に陥ることで、十分な栄養分を摂取・吸収できなくなるのだ。このような状態の放置は、筋肉量の減少や骨密度低下を招き、将来的なフレイル(加齢による身心の衰え)へと直結する危険性があるため、早期の医学的アプローチが不可欠となる。