アパートの隣室に住む大学生は、時折壁越しに聞こえていた奇妙な音を覚えている。「低く唸るような、パソコンのファンみたいな音がずっと聞こえていました。でも、たまにトントンと床を叩くような音がすることもあって、誰かが生活しているのだとばかり思っていました」と語る。
警察の検証によれば、その「床を叩く音」の正体は、サーバーの冷却ファンが異常過熱した際に、自動で窓を開閉するために設置された簡易的なアクチュエーター(駆動装置)の作動音だったとみられる。人間が快適に暮らすためではなく、機械が自らの稼働環境を維持するために、その部屋は呼吸していたのだ。