志摩マリンランドの営業終了が突如発表された際、旅行業界やファンの間には大きな衝撃が走りました。公式発表資料や運営母体である近鉄レジャーサービスの公表データによると、最大の要因は1970年3月の開業から51年が経過した施設全体の激しい老朽化です。
水族館という特殊な施設は、常に大量の海水と高湿度に晒され続けます。コンクリート構造体内部への塩分浸透による鉄筋腐食、水循環ポンプや電気系統の劣化、さらには巨大水槽のガラス・アクリル耐圧強度の限界など、目に見えないインフラの維持管理には年々天文学的なコストが積み上がっていました。耐震補強工事や現代の展示基準を満たす全面リニューアルを実施する場合、試算では数十億円規模の設備投資が不可欠とされ、単独施設での採算確保は極めて困難と判断されました。
折しも2020年からの世界的な渡航制限や観光需要の激変が重なり、長期的な投資回収プランの見直しを迫られたことも引き金となりました。地元経済を支えてきた近鉄グループとしても、利用者の安全確保を最優先にした苦渋の決断であったことが当時の記者会見や決算説明資料から読み取れます。