近年の記録ラッシュに対し、陸上ファンやSNS上では「シューズや電子ライトの恩恵だけで出た記録ではないか」という声が一部で散見されます。しかし、現場の指導者やスポーツ科学者の分析は全く異なります。
どれほど優れたテクノロジーが存在しようと、400mを60秒で12周半走り切る心肺負荷は変わりません。チェプテゲイは、母国ウガンダのカプチョルワ(標高約1800m〜2000mの高地)で過酷な高地トレーニングを重ね、最大酸素摂取量(VO2max)は85ml/kg/minを超える水準に達していると分析されています。
ギアやライトは「極限まで鍛え上げた肉体とポテンシャルを100%引き出すための触媒」に過ぎません。道具に身体を合わせるのではなく、過酷なペースに耐えうる乳酸処理能力とメンタルタフネスを備えた者だけが、12分35秒台の世界に足を踏み入れることができます。