裁判所の地図記号は天秤じゃない?高札の謎と入試頻出の覚え方を徹底検証

裁判所の地図記号は天秤じゃない?高札の謎と入試頻出の覚え方を徹底検証

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法曹界のシンボルといえば、ギリシャ神話の正義の女神テミスが掲げる「天秤」が真っ先に思い浮かびます。日本の弁護士バッジ(ひまわりの中央に天秤)にも刻まれており、直感的に「裁判所の地図記号も天秤の形だろう」と誤解してしまうケースが後を絶ちません。しかし、国土地理院の公式地図記号において、裁判所を表すデザインは横木を乗せた一本足の掲示板、すなわち「立て札(高札:こうさつ)」です。

立て札の形になった歴史的経緯は、明治初期の近代司法制度の黎明期まで遡ります。江戸時代、幕府や領主が法度や掟書、重罪人の処刑や判決結果を庶民に周知させる際、宿場町や辻講釈の広場に「高札場(こうさつば)」を設けました。明治新政府も1868年(明治元年)の「五榜の掲示」に代表されるように、当初は高札を用いて民衆に統治方針や司法判断を通達していたのです。

1873年(明治6年)の太政官布告によって高札制度そのものは廃止されましたが、近代地図の基礎を築いた参謀本部陸地測量部が明治期に地図記号を体系化する際、「裁判の判決や法文を国民へ公に布告する場」という象徴性を強く残していた高札をそのまま意匠化しました。これが高札をかたどった理由であり、制度が近代化されてもなお、日本固有の情報伝達史が記号の中に息づいている証左といえます。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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