カフェイン離脱頭痛に襲われた人が真っ先に手を伸ばすのが、ロキソニン(成分名:ロキソプロフェンナトリウム)をはじめとする非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)です。しかし、多くの人が「薬を飲んでも全く効かない」「痛みが1ミリも引かない」という事態に直面します。
ロキソニンが効かない理由は、痛みの発生ルートの違いにあります。ロキソニンは、体内で炎症や発熱を引き起こす「プロスタグランジン」の生成酵素(COX)を阻害することで鎮痛効果を発揮します。筋肉痛や風邪の喉の痛み、一般的な炎症には劇的な効果を示すものの、カフェイン離脱頭痛の主因はプロスタグランジンによる炎症ではありません。アデノシン受容体の急激なリバウンドによる純粋な物理的血管拡張が原因であるため、作用点が根本からズレているのです。
さらに警戒すべきなのが、市販の頭痛薬に含まれる配合成分の罠です。ドラッグストアで手に入る多くの総合鎮痛薬には、鎮痛補助や血管収縮を狙って「無水カフェイン」が1回量あたり50mg〜100mgほど配合されています。これを飲むと、含まれるカフェインによって一時的に血管が収縮し、頭痛が治まったように錯覚します。
ところが数時間後、薬効が切れると再び激しい離脱頭痛が襲いかかります。痛みを止めるために再び薬を飲む行為を繰り返すうちに、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛:MOH)へとスライドしていく危険性があります。知らぬ間に「鎮痛薬を飲むことで頭痛を再生産する」という泥沼に陥ってしまう点こそ、カフェイン頭痛の最も厄介な落とし穴です。