高校軟式野球の全国大会である全国高校軟式野球選手権大会は、毎年8月下旬に兵庫県明石市の明石トーカロ球場および姫路市のウインク球場(姫路市立姫路球場)で開催されます。硬式の聖地が阪神甲子園球場であるならば、軟式球児にとっての聖地は間違いなくこの明石の地です。
観客席の規模やメディアの露出量こそ硬式に譲るものの、ネット裏を埋めるオールドファンやプロのスカウト陣を唸らせるのは、ミスが許されない張り詰めた空気感です。軟式野球は使用球の特性上、打球が外野の頭を越える長打が極めて出にくく、1本の安打を奪うことすら至難の業となります。そのため、試合の大半は0対0や1対0のロースコアで進行します。
「1つのエラーが即座に敗戦へ直結する」という極度のプレッシャーのなか、内野手は打球のイレギュラーバウンドを完璧に処理し、外野手は前進守備でワンヒットも許さない鉄壁のシフトを敷きます。派手なホームランで試合がひっくり返る大味な展開ではなく、バント、盗塁、エンドラン、そしてそれを完全に読み切って外すバッテリーの配球が勝敗を分けます。まさにチェスや将棋を思わせる頭脳戦の激突こそが、現地に足を運ぶ観客を虜にして離さない最大の理由です。