2010年1月、負債総額2兆3000億円という戦後最大の事業破綻に陥った日本航空(JAL)。当時78歳だった稲盛氏は、政府からの強い要請を受け、無報酬で会長に就任しました。航空業界の素人であった稲盛氏が、就任からわずか2期で過去最高益となる営業利益2049億円を叩き出し、再上場へと導いたドラマは「JAL奇跡の再建」として世界中を驚嘆させました。
再建が成功した要因は、主に以下の3点に集約されます。
- 意識改革(意識のパラダイムシフト):官僚的で縦割りだった組織風土を打破するため、幹部向けに徹底的なリーダー教育を実施。「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という企業理念を掲げ、社員の心を一つに束ねました。
- アメーバ経営と路線別採算の導入:従来は大まかにしか把握されていなかった路線ごとの採算を便単位・日単位で可視化。現場のキャビンアテンダントや整備士に至るまでコスト意識が徹底されました。
- リーダー自らの無私・献身の姿勢:高齢でありながら無報酬で現場を飛び回り、社員の生の声に耳を傾ける稲盛氏の真摯な姿が、失意の底にあった社員の熱意と誇りを呼び覚ましました。
現場の意識が「会社のために働く」から「お客様と仲間のために自律的に動く」へと変化したことこそが、V字回復の最大の起爆剤だったのです。