物語の大きな推進力となったのが、沢村一樹さん演じる父・谷田部実の失踪事件でした。東京へ出稼ぎに出たまま突如として消息を絶ち、残された家族は借金を抱えながらも父親の無事を信じて奔走します。
実は強盗被害に遭ったショックで記憶を失い、保護してくれた人気女優・川本世津子(菅野美穂さん)の邸宅で「雨男」として暮らしていたことが後に判明します。みね子が偶然世津子の自宅を訪れ、父と衝撃の再会を果たすシーンや、母・美代子が東京へ乗り込み、世津子と対峙した末に実を連れ戻すシークエンスは、主演陣の鬼気迫る演技合戦となりました。
記憶が完全には戻らないまま奥茨城へと帰還した実は、改めて家族と向き合い、一から関係を築き直していきます。沢村一樹さんの繊細かつ包容力あふれる演技は、単なる美談にとどまらない「家族の再生物語」に説得力を与え、本作の感動を決定づける屋台骨となりました。