池脇千鶴という女優の真価を語る上で欠かせないのが、数々の日本映画史に残る傑作群です。1997年に「三井のリハウス」8代目リハウスガールとして鮮烈なデビューを飾った後、NHK連続テレビ小説『ほんまもん』(2001年)のヒロインを経て、彼女は単なるアイドル女優の枠を軽々と飛び越えていきました。
とりわけ2003年公開の映画『ジョゼと虎と魚たち』(犬童一心監督)で見せた演技は伝説的です。足の不自由な車椅子の少女・ジョゼ役を、毒舌でありながら愛らしく、そして残酷なまでにリアルな脆さを孕んだ存在として演じ切り、日本映画界に激震を与えました。また、2014年の『そこのみにて光輝く』(呉美保監督)では、貧困と絶望の淵に立ちながらも底知れぬ愛を宿すヒロイン・千夏を体当たりで熱演。ブルーリボン賞主演女優賞やキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞など、その年の映画賞を独占する快挙を成し遂げました。
監督や共演者たちからは「技術を超えた本能の芝居」「現場に立っているだけで空気を支配する」と評されるなど、その演技力の評判は同世代の女優の中でも頭一つ抜けた存在であり続けています。