クチポール、とりわけ代表作である「ゴア(GOA)」シリーズを手にした人の多くが、最初に覚える違和感はその独特な形状にあります。編集部がWEBアンケートやレビュー調査を分析したところ、使いにくさを指摘する意見は感覚的なものではなく、明確な構造上の理由に起因していました。
最も不満が集まりやすいのがスプーンの形状です。一般的な日本のカトラリーが口元へ滑り込ませやすい長楕円型であるのに対し、ゴアのスプーンは直径約4.7cmというほぼ真円に近い丸型設計を採用しています。この幅広のヘッドは、スープを口の端から流し込む欧米のフォーマルなマナーには適しているものの、カレーや丼もの、ピラフなどを口全体で含む日本の食習慣では「口角に引っかかる」「一口で綺麗にすくい取れない」という物理的なストレスを生じさせます。
さらに見逃せないのが、極細の丸軸ハンドルとヘッドの重量バランスです。アセタール樹脂で作られた柄は箸のように繊細で美しい反面、金属製のヘッドに対して重心が前方に偏っています。油分や水分がついた手で扱うと柄が指先で回転しやすく、硬い肉を切る際や粘り気のある料理をすくう際に、無駄な握力を強いられる構造になっています。見た目の軽やかさとは対照的に、「毎日の食事で使うには手首が疲れる」という本音は、こうした人間工学的ギャップから生じています。