一時的なペロペロ行動を「そのうち収まるだろう」と放置すると、取り返しのつかない重症化を招くリスクがあります。
特に警戒すべきは、手足を舐め続けることで皮膚の深部まで炎症が達する舐性皮膚炎(しせいひふえん / Lick Granuloma)です。表皮が削れて肉芽組織が露出し、潰瘍化すると通常の抗生剤投与だけでは完治が極めて難しくなります。舐性皮膚炎の治し方には、皮膚科的アプローチ(アレルゲン除去・消炎治療)と行動学的アプローチ(ストレス緩和・環境エンリッチメント)を並行して行う総合医療が求められます。
また、皮膚炎の背景には犬のアレルギー疾患(食物アレルギーや環境アレルゲン)が潜んでいることが多く、適切な痒み対策として2026年現在は分子標的薬(オクラシチニブ)や抗体医薬(ロキベトマブ)などを組み合わせた精密医療が主流となっています。
さらに見過ごせないのが、シニア期(小型犬で10歳以上、大型犬で7歳以上)における認知症(犬の認知機能不全症候群)です。昼夜を問わず単調に同じ場所を舐め続ける、呼びかけへの反応が薄いといった行動は、脳の変性に伴う常同障害の兆候であり、早期のサプリメント投与や脳刺激療法が必要となります。