アメリカの食文化を語る上で見落とされがちなのが、「なぜアメリカ人は長年シリアルを食べ続けてきたのか」という歴史的背景と、現代におけるその急速な変化です。
20世紀初頭、ケロッグ兄弟らによって開発されたコーンフレークは、もともと「消化に良く、禁欲的で清潔な健康食」としてサナトリウム(療養所)で普及しました。その後、1950年代以降のテレビ広告と砂糖コーティングによって「子どもの朝食の定番」へと変貌を遂げました。しかし近年、精製糖の過剰摂取が社会問題化し、砂糖たっぷりのシリアル離れが急速に進んでいます。
「アメリカ人は栄養に無頓着で、毎朝ジャンクなものを食べている」というネット上の言説は、もはや過去の偏見です。現在のアメリカ都市部では、栄養成分表示(Nutrition Facts)の「Added Sugars(添加糖類)」や「Protein(タンパク質)」のグラム数を厳格にチェックする消費者がマジョリティとなっています。かつてのシリアル神話は崩壊し、全粒穀物、ナッツ、シード類を主体としたクリーンな選択肢へと完全に移行しています。