苛烈を極めた武闘派の活動に終止符を打つきっかけとなったのが、法制度の抜本的な強化です。1992年に施行された「暴力団対策法(暴対法)」を皮切りに、裏社会を取り巻く環境は激変しました。
特に武闘派にとって致命的となったのが、以下の3つの法的枠組みです。
1. 代表者(使用者)責任の追及
民法709条・715条、および改正暴対法に基づき、組員が抗争で他人に損害を与えた場合、組のトップ(会長・組長)に対して天文学的な損害賠償請求が認められるようになりました。組員の一存で発砲事件を起こせば、トップの資産が差し押さえられ、破滅的な打撃を受ける構造が完成したのです。
2. 特定抗争指定暴力団制度
激しい抗争状態にある組織は「特定抗争指定暴力団」に指定され、警戒区域内において5人以上で集まることや組事務所への立ち入りが即座に逮捕対象となります。これにより、武闘派が集結して報復の指揮を執る物理的拠点が奪われました。
3. 全国的な暴力団排除条例
2011年までに全都道府県で整備された暴排条例により、銀行口座の開設、住居の賃貸、携帯電話の契約に至るまで組員の生活基盤が徹底的に遮断されました。武闘派として組織に尽くしても、出所後に経済的な見返りを得るどころか、一般社会で生存すること自体が困難な状況に追い込まれています。
これらの法規制により、かつて組織内で重宝された「体を張る武闘派」は、今や組織存続を脅かす最大のリスク要因へと転落し、急速にその姿を消していくこととなりました。