インターネット上には様々なDIY的な解決策が出回っていますが、医学的・解剖学的な観点から見て極めて危険な誤解が少なくありません。耳の組織を傷つけず、将来的な傷跡(ケロイドや瘢痕)を残さないためにも、以下のNG行動は絶対に避けてください。
第一の誤解は、「金属製の工具(ラジオペンチやニッパー)で力任せに挟んで引っ張る」という行為です。工具が滑って耳たぶの健常な皮膚を挟んで挫滅させたり、金属同士が擦れて生じた微細な金属粉が傷口に入り込み、重度の金属アレルギーや異物反応を誘発したりします。どうしても工具を使う場合は、挟む部分にマスキングテープやガーゼを何重にも巻き、皮膚に直接金属が触れないよう保護する配慮が欠かせません。
第二の盲点は、ピアスホールの腫れや膿が出ている状態で、消毒液を過剰に塗りたくって力づくで外そうとすることです。強すぎる消毒液(市販の消毒用エタノールや逆性石鹸など)は、傷を治そうとしている新生細胞まで破壊し、組織の炎症を促進させてしまいます。分泌物で固まっている場合は、消毒液ではなく「生理食塩水」や「ぬるま湯」で優しく洗い流すのが皮膚科領域における鉄則です。
そして最も警戒すべきが、ピアス埋没(エンベデッド・ピアス)の見落としです。キャッチやフロントのボールが皮膚の中にめり込み、上皮が覆い被さり始めている状態で引っ張ると、内部の肉芽組織や血管を引きちぎることになります。「少し埋まりかけているけれど、強く引けば抜けるだろう」という過信は絶対禁物です。