物語の語り手である売れない若手漫才コンビ「スパークス」の徳永は、熱海の花火大会の営業先で、先輩コンビ「あほんだら」の神谷と運命的な出会いを果たします。神谷の常識にとらわれない奇抜で圧倒的な漫才に心を奪われた徳永は弟子入りを志願。神谷は「俺の伝記を書くこと」を条件にそれを受け入れ、二人の濃密な交流が始まります。
吉祥寺の居酒屋や高円寺の街を舞台に、二人は夜な夜な「本当の面白さとは何か」「人間とは何か」という笑いの哲学を語り合います。神谷は徳永にとって絶対的なメンターであり、天才そのものでした。しかし、時代の変化とともにスパークスが少しずつメディアの露出を増やしていく一方で、妥協を許さない神谷のお笑いは大衆から孤立し、徐々に経済的・精神的な破滅へと傾斜していきます。
読者の胸を強く打つのは、作中に散りばめられた切実な言葉の数々です。特に終盤、コンビ解散を決意したスパークスのラストライブで徳永が放つ漫才の叫びや、神谷が語る「生きている限り、バッドエンドはない。僕達はまだ途中だ」という一節は、現代を生きる多くの人々の背中を押す名言として今なお語り継がれています。